topics-Kuroki | 神戸大学 生物生産情報工学研究室

青果物の膜物性、特に水透過性について

収穫後における青果物の品質は、細胞膜の機能劣化と密接に関係している可能性が指摘されています。そこで本チームでは、種々の貯蔵環境下における細胞膜脂質の過酸化の進行、および膜透過性の変化を調査することにより、細胞膜の化学的および物理的特性の変化が青果物の品質に及ぼす影響について解明することを目指した研究に取り組んでいます。具体的には、細胞膜の水透過性を支配すると考えられる「脂質過酸化物量」や「アクアポリン発現量」…

殻付鶏卵(タマゴ)の非破壊品質評価

鶏卵は良質な動物性タンパク質源の1つであると共に、多種多様な食品の素材として利用される我々の食生活に欠かせない基幹食材です。近年、消費者の健康志向、食の安全志向、自然志向を背景に多くのブランド卵(特殊卵)が開発・販売されています。また、加工鶏卵の需要が高まっています。しかしながら、出荷鶏卵中の内容成分の多寡や加工後の品質について、客観的な保証体制が確立している状況ではありません。そこで、機能性成分であるビタミンE(α‐トコフェロール)が卵黄中にどれくらい含まれているか、あるいは様々な加熱条件で加工された殻付鶏卵(温泉卵)中の卵黄粘度がどれくらいかを、非破壊的に計測する技術を開発しました。本研究の成果は…

タマネギの腐敗球の非破壊判別

タマネギは国内需要100万トンを超える基幹食材ですが、出荷品質を制御する技術が確立されていないことに起因する生産者へのリスク集中が生じています。特に、外観判別が困難である内部腐敗球の混入は、解決すべき喫緊の課題とされていました。そこで我々は、タマネギの非破壊品質評価技術と、当該技術を実装した大規模選果ラインシステムを開発しました。本研究成果が普及すれば、品質に基づく適正な価格形成がもたらされ、生産者サイドへの過度のリスク集中が改善されると考えています。また、産地においては生産力の維持拡大や6次産業化の推進の原動力になり…

力学的物性と品質との関係解明

現在、食品用として栽培されている植物には、多くの品種があります。生産農家の品種選択基準は、栽培の容易さ、収量の高さ、取り扱いの良さなどですが、一方の消費者は、外観、食味、食感などを選択の指標としています。このうち、食感には明確な判断基準がなく、定量的なデータの収集方法が必要とされています。
図は、根深ネギの食感の違いを示したものです。ネギを歯で切断するときを模した機械を製作し、ネギの組織が破壊・切断されるときの音や振動を計測し、数学的にグループ分けしたものです。根深ネギは大別して…

生体内水の運動性

生体構成成分の大半は水で占められていますが、水は、(1)生体反応の場を提供し、自らも反応そのものに関わり、(2)その物理化学的性質は、生理的状態と密接に関係していて、(3)組織の力学的強度を形成する膨圧を生じさせる要因でもあります。水の振舞いと植物体の様々な性質との関係を明らかにすることにより、細胞集合体の織り成す生理現象をより精緻に理解するための新たなフレームワークの創造が期待されます。
図は、キュウリ果実のプロトン密度画像です。器官ごとに、水の存在量が異なることや、半径方向の依存性も明確に観察されます。このように…

植物組織のミクロ構造

生物組織内の細胞と細胞との間には、細胞間隙といわれる隙間があります。動物の組織では、そこは組織液で満たされていますが、植物の場合にはガスが存在しています。植物組織に内における細胞間隙は、呼吸や光合成などの体内の代謝活動に必要なガスや水分の通路になっていると考えられています。本研究では、X線マイクロCT技術の利用により、世界で初めて植物組織内における細胞間隙の3次元ネットワーク構造を明らかにしました。図は、キュウリ果実果肉部の空気間隙です。
収穫後の日数が経過し、組織が老化していくと…