生体内水の運動性

生体構成成分の大半は水で占められていますが、水は、(1)生体反応の場を提供し、自らも反応そのものに関わり、(2)その物理化学的性質は、生理的状態と密接に関係していて、(3)組織の力学的強度を形成する膨圧を生じさせる要因でもあります。水の振舞いと植物体の様々な性質との関係を明らかにすることにより、細胞集合体の織り成す生理現象をより精緻に理解するための新たなフレームワークの創造が期待されます。図は、キュウリ果実のプロトン密度画像です。器官ごとに、水の存在量が異なることや、半径方向の依存性も明確に観察されます。このように、生体内水の物理化学的性質を計測することによって、その生理学的な意味や、鮮度や品質などとの関係を解明することを目指しています。