植物組織のミクロ構造

生物組織内の細胞と細胞との間には、細胞間隙といわれる隙間があります。動物の組織では、そこは組織液で満たされていますが、植物の場合にはガスが存在しています。植物組織に内における細胞間隙は、呼吸や光合成などの体内の代謝活動に必要なガスや水分の通路になっていると考えられています。本研究では、X線マイクロCT技術の利用により、世界で初めて植物組織内における細胞間隙の3次元ネットワーク構造を明らかにしました。図は、キュウリ果実果肉部の空気間隙です。収穫後の日数が経過し、組織が老化していくと、この空気間隙のつながりが途切れてしまうことも明らかにしました。このことは、老化に伴って、ガス交換の通路が所々で塞がれてしまうことを示しています。したがって、酵素活性の低下ではなく、基質として必要な酸素の体外からの供給速度が低下することによって、呼吸速度が低下する原因であると考えられます。

このように、空間構造とその変化がもたらす青果物の生理学的特徴とその変化を明らかにすることを目指しています。