高付加価値植物の生育制御 -百花蛇舌草の生育制御

白花蛇舌草(ビャッカジャゼツソウ、Hedyotis diffusa)はフタバムグラ属アカネ科の植物であり、和名はフタバムグラである。本州、四国、九州、沖縄及び朝鮮半島、中国、台湾、熱帯アジアに分布し、畑地、道端、湿地等に生える一年草である。
 白花蛇舌草は急性リンパ球型、顆粒球型、単核細胞型、慢性顆粒型の各腫瘍に対して強い抑制作用があり、急性リンパ球型、顆粒球型腫瘍については特に強い作用がある。また、煎剤は、試験管内で黄色ブドウ球菌、赤痢桿菌に対して微弱な抗菌作用と消炎作用があり…

高付加価値植物の生育制御 -サフラン球茎内デンプン含量非破壊計測

サフランの生育段階は花芽創始、花芽分化、花芽発達などの過程を経て花芽を形成する花芽形成期、花芽形成が終了して開花する開花誘導期、子球形成期、子球肥大期の4段階に分けることができる。サフランは分球によって増殖することから、サフランを安定的に栽培するためには良質な子球を生産する必要がある。植物工場におけるサフラン生産を考えた場合、歩留まりを考慮する必要がある。サフランの場合、球茎が開花しなければ柱頭を収穫することができないため…

高付加価値植物の生育制御 -サフランの生育制御

サフラン(Crocus sativus L.)の可食部分は柱頭であり、柱頭を乾燥させ生薬や香辛料、染料などに用いられている。9~10万個のサフランの花から5 kgの雌しべが収穫され、乾燥すると約1 kgとなる。また収穫時期は年に1回であり、収穫作業は手作業である。このように収穫量が少なく手間がかかることから高値で取引されている。また日本薬局方に登録されていることから、日本薬局方に示されている基準を満たしていれば、医薬品として扱うこともできる。厚生労働省によって定められた医薬品としての公定価格であるサフランの薬価は1 gあたり354.00 円である(2016年1月20日現在)。日本の伝統薬である漢方薬の有効性に関する…

葉面内硝酸濃度分布計測法を援用した硝酸還元酵素遺伝子発現を誘導するシグナル伝達物質同定

葉中の硝酸代謝は硝酸還元酵素により促進されますが、この酵素の活性は光条件の他に硝酸イオン自体によっても活性化されるとされています。細胞中に硝酸イオンが輸送され、細胞中の硝酸イオン濃度が高まると硝酸還元酵素が活性化され硝酸代謝が促進されるということです。
これまでは葉面内の硝酸イオン濃度分布を精密に測定することができなかったため、上記の説は葉単位など非常に空間分解能の荒い解析結果です。そこでハイパースペクトルカメラによる葉面内硝酸イオン濃度分布を精密に計測して硝酸イオン濃度が濃い部分と薄い部分を特定して硝酸還元酵素活性を測定することにより…

植物工場研究と解決すべき課題

植物工場の定義は,「環境制御や自動化などハイテクを導入した植物の周年生産システム」となります。具体的には外壁材で外界と隔離した閉鎖空間の中で植物の成長に最適な栽培環境を人工的に作り,植物を効率よく生産する施設です。工場としてはガラス温室など日射の入射を許す太陽光利用型や,日射さえも遮る外壁を使用した完全制御型があります。これらの工場は主に養液栽培方式を採用し,工場内の気温,湿度,二酸化炭素濃度,光強度,養液温度,養液PH,養液電気伝導度など栽培環境を自動調節する機器が導入されています。現在植物工場は実用化され…

テラメカニックス(車両の旋回問題)

   
仮に応力分布が完全にモデル化できたとすると、応力分布式を接地面内で積分すれば車輪に作用する力を計算することができます。左図は車輪を真上から見た図ですが、推進力H、転がり抵抗R、横力Sと、この図紙面鉛直に作用する鉛直荷重が車輪に作用する力です。
車輪に作用する力が計算できますと、これを車両への入力として車両の旋回運動を微分方程式で記述できるようになります。旋回運動の指標は重心点の横滑り角とヨー角速度です。旋回時には車両の場合も中心軸と進行方向の間にずれが生じます。やはりこれを横滑り角と呼んでいます。
微分方程式を解きますと横滑り角やヨー角速度の時間変化を知ることができます。修士論文(新潟大学)と博士論文(京都大学)では4WD-4WSトラクタの定常円旋回の解析を扱いました。走行路面はコンクリートと水田(乾燥路面)です。旋回中の車輪では…

テラメカニックス(車輪に作用する力の解析)

 
車輪に作用する力は路面との接触面に生じる接地応力分布と沈下量によって決定できます。応力分布は3方向、すなわち車輪表面に対して接線方向、法線方向、横方向を知る必要があります。しかし、この応力分布を土のパラメータを含めて理論的に予測することは簡単ではありません。
新潟大学で4年生の時に卒業研究テーマがまさに接地応力分布の測定でした。3方向応力を同時に測定できるクリックセンサを車輪に取り付けシングルホイールテスタ(強制スリップ装置)で接地応力分布を測定しました。

画像処理技術の生物生産への応用

  
処理の対象はデジタル画像です。デジタル画像は小さな正方形画素が敷き詰められて構成されています。左図はデジタル画像を拡大した図です。各画素は濃淡の違いを表す濃度値が与えられます。
画像処理で得られた計算値はそれ自身あまり意味はありません。計算値は目的に応じて処理されます。
主に穀粒の外観品質判別を行ってきました。画像処理結果を線形判別関数やニューラルネットワークによって解析し,実際に判別を行いました。最近では植物にこの手法を適用し,定植後経過日数の判別を行いました。…

植物成長モデルの解析

気温,湿度,二酸化炭素濃度,光強度など栽培環境入力とその結果である生体重や外観品質など出力との関係を数理的に解析して環境入力から出力値を予測する手法の開発を目的としています。現在では環境入力と植物成長との間の関係が定量的に予測できるような実用的な手法はあまり見られません。そのため生理障害などが発生するとどの環境要因が原因でそれが生じたのか特定することが困難な状況です。また,もしも入力と出力を関係付ける成長伝達関数が既知であれば環境入力から植物成長が予測できると同時に生産コストも予測できるようになり…

ハイパースペクトルカメラによる遺伝子組み換え成功判別法の開発

遺伝子組換えには薬剤耐性マーカー遺伝子が使用されています。遺伝子組換え細胞を抗生物質に浸けておいても組換えが成功した細胞は薬剤耐性マーカー遺伝子の作用で死滅しません。これにより組換えが成功したことを確認することができます。
しかしこの遺伝子は生態系に影響を与える可能性があります。そこで薬剤耐性遺伝子を使用せずに硝酸還元酵素遺伝子をマーカー遺伝子として目的遺伝子と共に組み込むことを計画しています。このマーカー遺伝子により硝酸の還元能が高まり細胞内の硝酸イオン濃度が低下すると考えられます。このため…

光環境制御による葉菜中硝酸イオン濃度低減化技術の開発

硝酸態窒素は植物の成長に欠かせない必須栄養素です。しかし、高濃度硝酸イオンを含む野菜を摂取すると人体に有害な場合があります。EUではすでに野菜の硝酸イオン濃度に規制がかかりました。日本ではまだ規制はありませんが、低硝酸野菜の生産は食の安全・安心という社会に要請に応えることになります。
硝酸の葉中における代謝は硝酸還元酵素により促進されますが、この酵素は光条件により活性の影響を受けることがわかっています。光条件は光量と光質及び明暗周期によって決まります。光強度による影響については…