ハイパースペクトルカメラによる遺伝子組み換え成功判別法の開発

遺伝子組換えには薬剤耐性マーカー遺伝子が使用されています。遺伝子組換え細胞を抗生物質に浸けておいても組換えが成功した細胞は薬剤耐性マーカー遺伝子の作用で死滅しません。これにより組換えが成功したことを確認することができます。

しかしこの遺伝子は生態系に影響を与える可能性があります。そこで薬剤耐性遺伝子を使用せずに硝酸還元酵素遺伝子をマーカー遺伝子として目的遺伝子と共に組み込むことを計画しています。このマーカー遺伝子により硝酸の還元能が高まり細胞内の硝酸イオン濃度が低下すると考えられます。このため遺伝子組換えが成功した細胞の硝酸イオン濃度は成功しなかった細胞よりも低くなると予想されます。

迅速な遺伝子組換え成功判別のため、細胞を培養して作出するカルスの硝酸濃度をハイパースペクトルカメラで非破壊計測する技術を開発しています。

具体的にはカルスの吸光スペクトルをハイパースペクトルカメラで計測し、同時にカルスの硝酸イオン濃度をRQ-Flex法で計測します。吸光スペクトルからカルスの硝酸イオン濃度を推定する数学モデルを作成します。

2010年から2年間の研究を経て、高い精度でカルスの濃度測定ができるようになりました。