Research | 神戸大学 生物生産情報工学研究室

Research

本教育研究分野では、主として閉鎖系空間における生産と収穫後処理を包含する生物生産システムを対象とし、工学的手法による成育中及び貯蔵中に作物が示す応答特性の非破壊計測と理論的解明、得られた結果を生産現場にフィードバックするための統合生産システムについて研究を行っています。

Team-ITOH <植物工場における植物生産制御に関する研究>


1.研究の概要とキーワード
 生物とは常識では考えられないことを目の当たりにできるワクワクするもの。工学とは目の前に起きたことを正確に計りそして数理でわかりやすく説明するもの。そんな生物と工学が融合した植物工場関連の研究を行っています。温度や光などの栽培環境はもちろん植物自体を特殊なカメラで計測し、これらのデータをコンピュータで解析して植物成長の説明を試みています。最近は遺伝子組み換えも扱うようになりました。高付加価値植物である薬草の生育制御に関する研究も進めています。
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2.内容

高付加価値植物の生育制御 -白花蛇舌草の生育制御

 白花蛇舌草(ビャッカジャゼツソウ、Hedyotis diffusa)はフタバムグラ属アカネ科の植物であり、和名はフタバムグラである。本州、四国、九州、沖縄及び朝鮮半島、中国、台湾、熱帯アジアに分布し、畑地、道端、湿地等に生える一年草である。
 白花蛇舌草は急性リンパ球型、顆粒球型、単核細胞型、慢性顆粒型の各腫瘍に対して強い抑制作用があり、急性リンパ球型、顆粒球型腫瘍については特に強い作用がある。また、煎剤は、試験管内で黄色ブドウ球菌、赤痢桿菌に対して微弱な抗菌作用と消炎作用があり、消炎、解毒、利湿薬として肺熱、喘咳、扁桃腺炎、咽頭腫痛、黄疸、でき物、毒蛇咬傷等に使用されている。…

高付加価値植物の生育制御 -サフラン球茎内デンプン含量非破壊計測 

 サフランの生育段階は花芽創始、花芽分化、花芽発達などの過程を経て花芽を形成する花芽形成期、花芽形成が終了して開花する開花誘導期、子球形成期、子球肥大期の4段階に分けることができる。サフランは分球によって増殖することから、サフランを安定的に栽培するためには良質な子球を生産する必要がある。植物工場におけるサフラン生産を考えた場合、歩留まりを考慮する必要がある。サフランの場合、球茎が開花しなければ柱頭を収穫することができないため、歩留まりが低くなる。球茎重量を基準とした開花率に関に関する研究報告があるが、これは非常に曖昧な指標であり球茎重量に代わる選抜指標が必要である。 また薬効成分であるクロシンの生合成は光合成産物であるグルコースが起点物質となっており 

高付加価値植物の生育制御 -サフランの生育制御  

サフラン(Crocus sativus L.)の可食部分は柱頭であり、柱頭を乾燥させ生薬や香辛料、染料などに用いられている。9~10万個のサフランの花から5 kgの雌しべが収穫され、乾燥すると約1 kgとなる。また収穫時期は年に1回であり、収穫作業は手作業である。このように収穫量が少なく手間がかかることから高値で取引されている。また日本薬局方に登録されていることから、日本薬局方に示されている基準を満たしていれば、医薬品として扱うこともできる。厚生労働省によって定められた医薬品としての公定価格であるサフランの薬価は1 gあたり354.00 円である(2016年1月20日現在)。日本の伝統薬である漢方薬の有効性に関する研究の進歩などにより漢方薬の認知度が上がり 

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3.研究の適用分野
• 客観的な基準に沿った植物生産の自動化
• 高品質、高付加価値の植物生産 • 植物工場の経営健全化の実現

 

 

Team-KURØKI <食料安全保障のための生体情報計測技術開発>


1.研究の概要とキーワード
 食品そのもの、あるいは様々な加工食品の原料となる農産物は、植物という生命体であり、栽培中はもちろん、収穫後も生命活動を行っています。従って、その健康状態や品質などの生体情報の計測技術が必要となります。本チームでは可視/近赤外分光法、NMR分光法、X線CT、音波振動などの非破壊計測技術を用いて、化学的性質(内容成分)、力学的性質(粘弾性)、構造的性質(アポプラストネットワーク)、生理的性質(呼吸)を空間的・時間的にもモニタリングするための技術開発を行っています。
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2.内容

青果物の膜物性、特に水透過性について 

収穫後における青果物の品質は、細胞膜の機能劣化と密接に関係している可能性が指摘されています。そこで本チームでは、種々の貯蔵環境下における細胞膜脂質の過酸化の進行、および膜透過性の変化を調査することにより、細胞膜の化学的および物理的特性の変化が青果物の品質に及ぼす影響について解明することを目指した研究に取り組んでいます。具体的には…

殻付鶏卵(タマゴ)の非破壊品質評価 

鶏卵は良質な動物性タンパク質源の1つであると共に、多種多様な食品の素材として利用される我々の食生活に欠かせない基幹食材です。近年、消費者の健康志向、食の安全志向、自然志向を背景に多くのブランド卵(特殊卵)が開発・販売されています。また、加工鶏卵の需要が高まっています。しかしながら、出荷鶏卵中の内容成分の多寡や加工後の品質について、客観的な保証体制が確立している状況ではありません。そこで、機能性成分であるビタミンE(α‐トコフェロール)が卵黄中にどれくらい含まれているか、あるいは

タマネギの腐敗球の非破壊判別 

タマネギは国内需要100万トンを超える基幹食材ですが、出荷品質を制御する技術が確立されていないことに起因する生産者へのリスク集中が生じています。特に、外観判別が困難である内部腐敗球の混入は、解決すべき喫緊の課題とされていました。そこで我々は、タマネギの非破壊品質評価技術と、当該技術を実装した大規模選果ラインシステムを開発しました。本研究成果が普及すれば、品質に基づく適正な価格形成がもたらされ、生産者サイドへの過度のリスク集中が改善されると考えています。また、産地においては生産力の維持拡大や6次産業化の推進の原動力になり…

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3.研究の適用分野
• アグリフードチェーンにおける既存技術の再評価や新技術の創生
• 生産者の栽培管理能力評価による、競争力のある生産者の育成
• ”Farm to Table”の概念の具現化、および次世代型食料供給システムの構築