植物工場研究と解決すべき課題

     

 

 

植物工場の定義は,「環境制御や自動化などハイテクを導入した植物の周年生産システム」となります。具体的には外壁材で外界と隔離した閉鎖空間の中で植物の成長に最適な栽培環境を人工的に作り,植物を効率よく生産する施設です。工場としてはガラス温室など日射の入射を許す太陽光利用型や,日射さえも遮る外壁を使用した完全制御型があります。これらの工場は主に養液栽培方式を採用し,工場内の気温,湿度,二酸化炭素濃度,光強度,養液温度,養液PH,養液電気伝導度など栽培環境を自動調節する機器が導入されています。現在植物工場は実用化され,実際にレタス,サラダナなど,葉菜が主に生産され販売されています。 実用化されている植物工場ですが,解決すべき問題は多々残されています。例えば施設生産であるが故の高生産コスト,太陽光利用型工場における夏期の収量減少などです。

栽培環境が与えられたことにより成長すると考えると、植物体への入力を環境要因、出力を成長として入出力の関係が数式モデルで表現できそうです。しかし、これは簡単なことではありません。環境要因は多岐にわたり、かつお互いが影響しあいます。多くの環境要因が複合的に作用し、結果的に成長という現象が現れるわけですのでこれらを数式で表現するのは難しいのです。しかし、仮に数式で表現できれば、環境入力から成長が予測できます。そこで植物成長伝達関数を知ることを課題の一つとしています。

もう一つの課題は成長モニタリングです。現在は栽培を行っている人が植物を見て成長診断をし、適切な栽培環境になるように環境制御機器の設定値を変えています。この診断の部分をカメラとコンピュータに置き換えて自動化できれば栽培経験のない人でも無駄なく栽培することが可能になります。モニタリング技術の開発も注目すべき課題に据えています。