テラメカニックス(車両の旋回問題) | 神戸大学 生物生産情報工学研究室

テラメカニックス(車両の旋回問題)

 

 

 

仮に応力分布が完全にモデル化できたとすると、応力分布式を接地面内で積分すれば車輪に作用する力を計算することができます。左図は車輪を真上から見た図ですが、推進力H、転がり抵抗R、横力Sと、この図紙面鉛直に作用する鉛直荷重が車輪に作用する力です。

車輪に作用する力が計算できますと、これを車両への入力として車両の旋回運動を微分方程式で記述できるようになります。旋回運動の指標は重心点の横滑り角とヨー角速度です。旋回時には車両の場合も中心軸と進行方向の間にずれが生じます。やはりこれを横滑り角と呼んでいます。

微分方程式を解きますと横滑り角やヨー角速度の時間変化を知ることができます。修士論文(新潟大学)と博士論文(京都大学)では4WD-4WSトラクタの定常円旋回の解析を扱いました。走行路面はコンクリートと水田(乾燥路面)です。旋回中の車輪では、一般に車輪回転面と進行方向の間にずれが生じます。これを横滑り角と呼びます。このずれにより接地面内で土が横方向に剪断破壊されて横力が発生します。

理論計算だけでは、それが本当に正しいのかを示すことができません。そこで農用トラクタ実機を使用して旋回中の車輪荷重を測定しました。8角形リングを使用して車輪に作用する鉛直方向および横方向力を測定しました。また、車軸トルクを測定することにより推進力を求めました。

実験結果とコンピュータシミュレーション結果を比較しますと、コンクリート路面ではよく一致しますが、水田路面の場合では一致しないことが多いのです。この原因は土のパラメータを定数として扱っていることが原因であると予想しています。土のパラメータは破壊速度の関数になっているのではないかと予想しています。これを知るにはさらなる研究が必要です。